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明専会報(第926号):お勧め記事のご案内
今号(第926号)のお勧め記事は、シリーズ連載となっている「私の自慢話」です。
九州大学の名誉教授でいらっしゃる園元謙二氏がご執筆くださいました。
今回は「前編」として、幼少期からの宇宙・未来への憧れのこと、そして学生時代の思い出などが綴られています。どうぞご覧ください。
「宇宙へ飛び出した乳酸菌研究!」
前編(研究の変遷のよもやま話、人の縁)
化51 園元 謙二
プロローグ
2019年3月に退職して4年余、最初の1年の前半は残った仕事を片付け、後半は希望していた2カ月ほどの海外滞在を楽しんでいた。しかし、2020年の初め頃よりコロナ感染の広がりで、世界的な行動制限が始まってしまった。
さて、この執筆をお引き受けした理由は単純であった。後に紹介する研究成果が、ソーシャルビジネスとしてさらに発展するために皆様に紹介し、ご協力を得たいためである。だが、その商品「オーラルピース」の宣伝ではなく、私の大学での研究開発の秘話や苦労話しを皆様の興味を引くように書いてほしいと頼まれた。しかし、私には文才がない。大学での研究は個人的な興味に基づいたものが多く、それ以外の人にとって無縁であり、また私には自慢するほど優れた業績もないと思っている。そこで、なぜ私の研究がひょんなことから宇宙と関係するようになったのかを説明するために、先ずは私の幼少期からの宇宙・未来へのあこがれの話から始めたいと思う。
宇宙・未来へのあこがれ
30世紀の西暦2922年、惑星連邦生物工学会は創立1000周年を迎えた。(中略)
21世紀初頭に明らかとなった物質に質量を与えるヒッグス場は宇宙空間に常に存在しているため物質を光子のように光速で動かすことができないと言われていたが、ヒッグス場を瞬間的に遠ざける技術革新によりいわゆる『ワープ』が最近可能となった。また、星間連邦国家ではいくつかの種族が独自の言語を使用しているため、高性能な宇宙翻訳機は24世紀に早々と開発されている。一方、生命科学分野では、生物ゲノム情報の解析が進み、休眠遺伝子やジャンクDNAなどの機能が明らかになり、合成生命の誕生や合成微生物からヒト臓器の作製などが実現している。さらに、記憶の階層研究が進み、コンピュータでの情報の保存・上書きに相当するヒトでの他者の記憶の転移などが可能となっている。しかし、高度の記憶情報処理、たとえば記憶の干渉・再構成やインスピレーション力、セレンディピティなどは未開拓事例である。場面が変わり、惑星連邦下の学会では、加盟惑星の種族、年代の相違による交流の低下と次世代の育成が問題になり、連邦理事会・代議員会で議論が続いている。“これは21世紀の学会と同じ悩みだ。学会の伝統を重んじ、かつ新たな進展を担う次世代の若手育成は30世紀の科学技術でも対処できないのだな!”と思っていると目が覚めた。前述の夢は、子どもの頃、ガガーリンの人類初の宇宙飛行(1961年)、人の月面歩行(1969年)に歓喜し、テレビの『宇宙大作戦』やその後の映画『スター・トレック』で空想し、そして私自身の科学的瞑想の世界から生まれたものであった。面白い初夢を見たものだ。
上記は約10年前にある学会誌の新年号の・・・・・・
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